恋愛映画を見る!「天国の口、終りの楽園。」(2001): 思春期の苦い性の思い出が郷愁を誘う一本

恋愛映画を見るシリーズ、今回はメキシコ映画「天国の口、終りの楽園。 」(原題:Y Tu Mamá También、2001, アルフォンソ・キュアロン監督)です。



本作は恋愛映画というか、青春映画と言った方がしっくりするのかも知れませんが、恋愛を扱わない青春映画などありません。「天国の口、終りの楽園。 」ももちろん、青春真っ只中の若者たちの性愛を通して人生や青春を描こうとする作品です。


ちょうど大人と子供の境目くらいの年齢の二人の若者、フリオとテノッチは、二人の彼女がヨーロッパ旅行に出かけている間にスペイン人のルイサに出会います。二人は金持ちの息子で、マリファナを吸って遊びほうけている気楽な奴らなのですが、ルイサの気を引こうと「天国の口」という美しいビーチがあるのだという嘘をつくわけです。

 夫のいるルイサはそんな二人を軽く受け流すのですが、ある日夫が電話で浮気してしまったということを告白され、傷心からフリオとテノッチと一緒に「天国の口」に行くと言います。フリオとテノッチは車を調達し、友達から聞いた遠く離れた所にあるきれいなビーチをルイサと3人で目指す事になります。

 「天国の口、終りの楽園。 」はこの車での旅がメインのロード・ムービーなのですが、ビーチにつくまで3人の事が分かってきたり、肉体関係を持ったり、色々なことがあるのですが、とても青春を感じます(もしくは青春を思い出します)。

私はそのフリオとテノッチの青春真っ只中の青さが好きでした。セックスに興味があるんだけど、うまくできないし、まだよくわかっていない感じとかもとてもうまく描けているし、無駄にエネルギーの余った感じも好きです。

 デーティング・コーチとしてオススメの場面は、パーティーで初めてフリオとテノッチがルイサをナンパ(?)する場面です。男性の方はここでのフリオとテノッチから学べることはたくさんあります。

まずテノッチがルイサに話しかけてコーナーに追い詰める(笑)わけですが、まずここでフリオが少し距離をとって遠巻きに様子を窺っているところに注目してください。

 ここでのフリオは我々の専門用語で言う「ウイング」というやつで、いわばテノッチのアシスト役なのですが、あの柵のコーナーに女性がいるという状況で男二人で囲んだ場合、女性にとっては少し怖い感じになってしまい、警戒されてしまいます。だから少し遠巻きに眺めて、自分が入っていくベストのタイミングを待つわけです。(しかも入り方は完璧です。17,8のクセにかなりの技です…)

そして何よりも学んでほしいのが、フリオとテノッチの楽しそうな感じです。天国の口のくだりを話す時の二人の楽しそうな感じと、溢れんばかりの笑顔。これが何よりの魅力です。若い女性を遊びに誘うなら、これ以上の誘い方はありません。男性は是非、この楽しそうな感じと笑顔を学んでください!

 ラストは結構予想していない終わり方をするのですが、ここに詳細は書かないでおきます…。

私はこのラストは好きではありませんが、恋愛や青春について何か郷愁のようなものを感じさせられました。 青春の甘さだけでなく苦さも感じたい映画を見たい時に、是非。