たまたまTVでやっていた、ビリーワイルダーの「アパートの鍵貸します」を見ました。
↓ラスト一歩手前のシーン
久しぶりに見て、学生時代に好きな女の子と映画館にこの映画を観に行った事を思い出してしまいました(笑)。
この映画は、「いい人」のお手本のようなバクスター(ジャック・レモン)が勤務する会社のエレベーターガールであるフラン(シェーリー・マクレーン)に恋するが、フランはバクスターの上司の不倫相手である、という設定を核としたラブコメなんですが、このバクスターの「いい人」っぷりが凄い。
出世のために、上司に自分の部屋を、不倫相手との密会用に貸し出しているんですが、とにかく何でもいう事を聞き、後始末まできっちりとする便利屋です。そのために風邪を引いたり、好きな女性の兄に殴られたりと散々な目にあうわけです。
睡眠薬を飲みすぎたフランを親身に介抱するのですが、そこからも一歩前に出ることなく、そんな状態にフランを追い込んだ悪い男である上司にフランを譲るわけです。
もちろん、フランはそんなバクスターになびかず、ずっとその悪い上司が好きなわけですが、最後にバクスターが上司に反抗し、フランを自分のアパートに連れてくることを拒みます。(それをフランが知るシーンが上に貼った動画です。)
それで映画は結局ハッピーエンドになり、めでたしめでたしというわけですが、ここで現実に戻りましょう…
現実では、フランがバクスターになびく事はほぼありません。(現実は厳しく醜いですね…笑)
魅力的な女性が、いい人よりも「ワルい」人になびいてしまうのはよくある事です。明らかにそっちの方が幸せだろ! と端から見ても、頭で考えてもわかるのですが、誠実なバクスターよりも女たらしの上司の方が魅力的なのです。
この「いい人」vs「ワルい男」の事についてもっと知りたい方はオトナノダンセイドットコムに投稿した記事を参照してもらうとして、 ここではバクスタータイプの犯す大きな間違いについて話したいと思います。
それは、自分の力を手放して、相手に従属するということです。
ここには難しい問題が潜んでいます。それは、優しさ・寛大さと、追従・服従の線引きです。
つまり、自分を省みず相手のために何かをすることは美しい行為ですが、自分を捨てて他人に尽くすのは魅力的ではないということです。分かりやすくいうと、他人に奉仕するという行為には、ジェントルマン型と奴隷型の二通りあるということです。
これは、女性を魅了する過程でとても重要な線引きです。例えばドアを開けてあげる、道路側を歩いてあげるといった行為は紳士的だとして好ましいとされますが、なんでも買ってあげたり、何をされても許したりというのは魅了するという観点からは好ましくないわけです。
だが、どこで線を引くのか?という問題は、考えるととても難しいですよね。
例えば、「女性のバックを持ってあげる」という行為。
これは、ちょうどボーダーくらいに当たるんじゃないでしょうか(笑)。これは紳士的でしょうか、奴隷的でしょうか?
この質問に対しては、男女ともに、色々な意見が出てくるのではないでしょうか。
ちなみに、これは文化によっても違ってきます。例えば台湾や中国南部では、「男性が女性の鞄を持つ」という行為は結構当たり前になされています。私も、初めて台湾の女性に「鞄持って」と当たり前のように言われた時に「は?」と聞き返したのを覚えています(笑)。
…この話に見られるように、実は、線引きは客観的にするものではありません(=これが答えだ!という明確な線引きは存在しません)。
問題は、(またしても?)自分の内面的な態度です。つまり、何をしたのか(鞄を持ってあげる、etc)という行為でなく、どういう態度で、どういう意味としてその行為をするかという事が重要なわけです。
つまり、「鞄持ってよ、重いんだから」と言われ、その女性に嫌われたくないからその鞄を持つのか、重い荷物を持って、何ひとつ文句を言わずけなげについてくる女性をいじらしく思って持つのか、ということでは同じ鞄を持つという行為の意味が違ってくるという事です。
もっと言えば、「鞄持ってよ」と女性に言われたとして、「はい、女王様」という感じで(笑)黙って従うのか、「お前何言ってんの? ほんとうにしょうがないヤツだな、五歳児みたいだよな」と笑いながら持つのか、では大きな違いがあるわけです。
ここに、テクニックの入り込む余地があるわけです。
…そういうつもりはなかったのですが、今回は初心者にはちょっと難しすぎる内容になってしまいました。エスカレートする前に切り上げたいと思います(笑)。