前回同様、「とにかく~しろ」というあってはならないアドバイスの中の、最も流通しているもののひとつです。
「女の子をとにかく笑わせろ! 面白い人だと思われればブサイクでもチャンスはある!」
「この人といると楽しい」と思わせることが重要。巧みな話術で笑わせまくれ!
…どこかで聞いたことがありますよね。
前回同様、論理的に正しい気がします。なぜなら、実際に「面白い人だと思われ」た方がそう思われないよりはいいでしょうし、「この人といると楽しいと思わせることが重要」だという事も正しいからです。
「面白ければ、何してもいいんでしょ?」
-では、どこが間違っているのでしょうか?
女性を笑わせる事ができる、ということがプラスであることは間違いありません。ただ、この類のアドバイスの間違いは、笑わせる事が目的になってしまい、魅了するための一つの要素でしかないということを無視しているという事です。
笑わせる=魅了する、笑った=惹かれた という単純な方程式は成り立ちません。
しかし、このアドバイスに従ってしまった不運な男性たちは、この等式が成り立つと信じ、笑わせる事を至上命題としてトンデモない失敗をやらかす可能性があるわけです。
「見て! 見て! 僕って面白いでしょ?」
-じゃあ、実際はどうなの?
実際は、笑わせようと奮起する男性は「かわいい」男ではありますが、「抗しがたい魅力を感じてしまう」男ではありません。笑わせようと頑張るという行為は、女性から面白いと思われたい、楽しい人だと思われたい、という欲望をコミュニケートしてしまうわけです。
大人の男性にとって、「女性から何かを欲しがっている」ということをコミュニケートする行為はマイナス表現にあたります。つまり、「楽しい人であること」や「笑わせるような会話が出来ること」はとても素敵なことですが、「楽しい人であったり、笑わせるような会話が出来る人だと思われたいから頑張ること」はダサいことだということです。
この違いは結構細やかなように見えますが、決定的に重要です。「笑わせる」ことが出来るのは素晴らしい事です。ただ、笑わせる=魅了する、笑った=惹かれた という等式が成り立たないということを忘れないで、大人の男性としてのバランスをとることが重要になってきます。