いわゆる「恋愛アドバイス」も巷に溢れていますが、その中でよく耳にするポピュラーなものの中には、普通に恋愛をしている人間ならだれでも笑ってしまうようなものも多くあります。
そんなものの中から、特に流通している物を取り上げて
男性篇第一回は…「とにかく褒めろ」。
「女性は褒められるのが大好き。とにかく褒めていい気分にさせろ!」
「褒められて嫌な気持ちはしないもの。褒めて褒めて、褒めまくれ!」
…こんな 「恋愛アドバイス」を聞いたことがありませんか?
笑っちゃいますよね。
「ああ、君のパンチはなんて素敵なんだ…」
実は、よく流通している「恋愛アドバイス」の類には共通する特徴があります。
それは、簡単・簡潔であるということです。
恋愛アドバイスでけではなくポピュラーな物全てがそうかもしれませんが、とにかく分かりやすく、格言のように短く、覚えやすいわけです。つまり、「とにかく褒めろ」とアドバイスされた側は、「そうか、じゃあ次はとにかく褒めてみよう」と、簡単に了解できるというわけです。
さらに、もうひとつの特徴として、「論理的に正しい気がする」というポイントも挙げられます。
上の例で言うと、「褒められて嫌な気分はしないもの」というくだりに妙な説得力がありますよね。
…だって、そこは当たってますから(笑)。
褒められて嫌な気分がしないというのは正しいでしょう。しかし、「だからそれをすれば女性を魅了することが出来る」という結論に達するのは明らかに飛躍があるわけです。
ー では、どこが間違っているのでしょうか?
まず、TPOを無視したアドバイス全ては疑う余地があります。「とにかく~しろ」というような、どんな状況でもこれは有効だ、というようなことが複雑な男女のコミュニケーションの中であるわけがないのです。
さらに、「褒める」って何? という問題があります。何を褒めるのか、どう褒めるのか、いつ褒めるのか。
つまり、「褒める」という事をアドバイスしたいのなら、どういう相手に、どういうシチュエーションで、どういうタイミングで、何を、どうやって、褒めると有効なのか、というガイドラインにしないとちゃんとしたアドバイスだとは言えないわけです(別に俺たちはプロじゃないんだからいいじゃねえか、と言われればそれまでですが)。
しかし、今書いたような、TPOを含めたガイドラインにすると、簡単・簡潔というルールから外れる事になるため、そういったことがポピュラーに流通する事はないでしょう。したがって短絡版がいつも出回るわけです。
- じゃあ、実際はどうなの?
実際は、「女性を褒める」というのは別に特筆するほどのことではありません。つまり、そんなものを「テクニック」として見なすほどのものではない、ということです。ただ、「とにかく褒める」と、プラスどころかマイナスになってしまう事が多いため、その有害なアドバイスを是正するためにも、少し書いておきたいと思います。
褒めるという事で重要なのは、
①相手がどんな女性であるか(美人なのか、もてる女性なのか)
②褒める頻度
③褒め方
の三点です。この三点はお互いに繋がっている部分も多いです。
①に関しては言うまでもありませんが、いわゆるもてる女性、美人でちやほやされてきた女性が、他の女性に比べてたくさん褒められて生きてきただろう、という皆がするであろう予想は当たっています。
そこで、①の変化に応じて②、③を調整するのが好ましいわけです。
ちなみに②ですが、一番やってはいけないのが、今回話題になっている「とにかく褒める」ことです。何をやっても褒める。一日何度も何度も褒める。これは自己評価の病的に低い女性には「有効」な方法であるかもしれませんが、健全な美女にとっては「めんどくさい」「ウザい」だけでしょう。
「君は怒った時も本当にかわいいよね…」
私の男性コーチング法にそって言えば、何をやってもとにかく褒めるというのは「大人の男性」らしからぬ、「女性に認められるためにすがりつく」行動に当たり、言語道断(笑)だということになります。
これに関連して、③も、「本当にそう思ったから褒める」という自然さが重要です。つまり、「褒める事によって相手に好かれようとしている」ということをコミュニケートしたらダメで、お世辞を言ってもダメなわけです。「とにかく褒めまくれ」というアドバイス(教条?)の背後にあるのも、「褒めることによって相手に好かれよう」という意図であり、その意図自体が魅力的でないという事に気付かないようでは、あまりにも子供じみていると言わざるを得ないでしょう。
「ああ、かわいい君の目潰しは他の女とは違って、品があるね…」
あなたとのデートに女性がおめかしして来て、かわいいな、と思ったから、「かわいいね」と自然に言う。それ以上でもそれ以下でもないでしょう。恋愛ゲームのテクニックを語るならば、むしろ「いつ、どういう状況では褒めない方がいいか」を語る方がよほど生産的だと思います。