フランク・キャプラのForbidden (1932).(下はYoutubeから、映画の一部です)
恥ずかしながら、初めて見ました。
主演のバーバラ・スタンウィックが素晴らしい! 私の中で彼女の評価が急上昇です。
この話、スタンウィック扮するルルという女性が妻を持つ政治家と恋に落ちてしまうんですが、もう一人、ジャーナリストのホランドという男がルルを好きなわけです。
ルルは政治家を一途に愛し、結果ホランドの恋は悲劇的な結末を迎えてしまいます(これから見ようと思う人がいるかもしれないので詳細は割愛)。
つまり映画では主人公はルルと政治家であり、ホランドは政治家に恋路で負ける役なのです。
しかし…このホランドが格好いい!
政治家よりもダントツ格好いいです。
男性諸氏は、政治家よりもホランド氏から学べることが多いと思います(政治家の会話センスは素晴らしいけれど)。
特に、私の男性のコーチング法の視点から特筆したいのが、ホランド氏の「意に介さない」態度と、いわゆる女性の「NO」をユーモラスに流してしまう技でしょう。
例えば、上の動画の7:21~7:34のやりとり。
ディナーに誘うホランドに対し、「NO」と言うルル。
ホランド:「Tomorrow night?」(じゃあ、明日の夜は?)
ルル:「No」(ダメ)
ホランド:「Next year?」(来年は?)
ルル:「No」(ダーメ)
ホランド:「Good. Because by me,it's this way, the longer they no, the harder they yes.」(それはいいね。だって、長く拒否すればするほど、その後のYESが強くなるものだからね。」
…(笑)。もうひとつの例は、この少し後、ルルの部屋で政治家と戯れているときに(素晴らしいシーン)、ホランドから電話がかかってきて、「君と結婚することをさっき決めたんだけど、どう?」と言います。そこでルルは「うーん、10年か15年くらいは考えさせて」といい、ホランドは「いいよ。納得のいくまで考えな。このまま電話を切らずに待ってるから」などといいます。
うーん、素晴らしい…
「…どこが?」と思った男性諸氏もいるかと思います(私の生徒の方々は「素晴らしい…」と頷いているはずです…よね?)
もちろん、これは「戦前」・「アメリカ」・「映画」なので、私達の世界と同じなわけではありません。女性にNOと言われて、全く同じように返すのがいいよ、と言っているわけではありません。
我々がホランド氏から学ぶ事が出来るのは、女性からのNOを自分個人に対する否定だと受け止めず、感情的なリアクションをしない態度と、それを自分のユーモラスな部分(と相手への思い)を出すチャンスにしてしまう余裕です。
つまりホランド氏は、私が口を酸っぱくして(笑)言っている、「魅力的な大人の男性」の態度を持っているわけです。
映画では結局、ホランド氏は恋に破れますが、私にとってはダントツの存在感でした。
ちなみに…もし、ホランド氏が私のところに相談に来たとしたら(映画を観ながらこういうことを考えたくはないんですが…職業病ですね)、私はカジュアルに他の女性と付き合うことを勧めるでしょうし、ルルが相談に来たら、政治家とは早い段階でキッパリ別れることを勧めます(というか、子供が生まれた後に尋ねてきた時にヨリを戻さないのが彼女にとってベストでしょう)。
観てみようかな、と思った人は、youtubeに全編が載ってます。戦前の作品なので著作権はフリーなのでしょう。ただ、日本語字幕版は見つけられなかったので、字幕つきで見たい人はレンタルショップにどうぞ。上の訳は私が訳した物なので、こういったやりとりを他の翻訳家たちがどう訳したのか、気になるところです。