昔から、女性は男性よりもよく喋るとされてきました。
それは、実際の生活体験から来る印象に基づいていたりするわけですが、そういった事を裏付けるような事を、テレビのコメンテーターみたいな「お茶の間心理学者」達が言うようになったりしたからでもあるでしょう。
実際、女性は一日に20000語、男性は7000語というような事が言われたり、女性が50000語で男性が25000語だということを言う人がいたりと、推測なのかなんなのかわからないような数字が飛び交っていました。
そんな中、実際に数えようという試みがなされました。ある研究では、400人の男女にレコーダーを付けて、実際の生活をさせて、その後に語数を数えるという試みがなされました。
結果は、男女ともに一日に約16000語を話しているというものでした。しゃべる量に関して、男女の違いはほぼないという結論です。
この後、カリフォルニア大学の心理学者の研究でも、しゃべる量に関して男女の違いはほぼないという結果が出ています。
これらの研究ではむしろ、男女間の違いというよりも個人間の違いというものが強く出たようです。例えば、最初の研究では、一番よくしゃべる人が47000語、一番寡黙な人が700語だというような大きな差が出たといいます。
これは、別に研究機関の言を待つまでもなく、私たちが皆経験から知っていることですよね。「よく喋る人とあんまり喋らない人がいる」という事です。
では、女性が男性より多くしゃべるというのはただの神話なのでしょうか。男女間の違いは全く無いのでしょうか。
伝統的に、男性は寡黙である方が好ましいとされてきました。「女みたいに」ペチャクチャ喋るのは軽薄である、という文化です。恐らくこれは世界の色々な地域で当てはまる文化です。こういった伝統的な文化が、「女は男よりもよく喋る」という神話を作ったのだと思います(というか、こういった文化が支配的であった時代には実際に男がもっと静かにしていた(笑)のでしょう)。
セクシズムなどというアイデアが浸透した現代の先進諸国では、「男は~でなければならない」のような価値観が崩れていき、それにともない喋る量も男女平等(?)になってきたという風に考えることも出来ます。
ただ、喋る量ではなく、何を喋るかについては男女の違いがやはりあるようです。
よく言われるのが、男性は非個人的な、問題の解決についての話題などではよく喋り、女性は個人的な話題についてより発言するという事です。知らない人に囲まれている状況の場合、男性の方が女性よりもよく喋ることや、女性の方が男性よりも子供と話すというようなことも知られています。
そういった色々な違いが男女間にはあるわけですが、実際は昔に比べてどんどん性別間の差が減ってきているのだと思います。ただ私たちは男女間の差を強調するのが好きです。だから「話を聞かない男と地図を読めない女」のような題名の本が好きなわけです。
実は、恋愛アドバイスの多くはこういった「男女間の差」というものに基づいています。男女間の差が本当に無くなったら、恋愛アドバイスは恐らくほとんど必要なくなり、我々デーティングコーチは全員失職(笑)するでしょう。
ただ、男女共にコーチングしている立場からすると、男女間の差はやはり歴然とあると感じています。研究者のトレンドに逆行するのかもしれませんが、実際に多くの「生きた」男女に触れ、恋愛をしている者の経験からすると、我々が失職するのはまだかなり先だと思うわけです。