スピード・デーティング:現実的な女性、気の大きくなる男性

数年前に出た、オンライン・デーティングをする人たちを調査したペンシルバニア大の有名な研究では、女性の方が男性よりもより厳しく相手を査定しているという結果が出ましたが、今度はドイツで、スピード・デーティングをする人たちの調査が行われました。とても面白いので紹介しようと思います。

スピード・デーティングとは、パートナーを探す男女が会場に集い、一人ずつ順番に「スピードデート」(通常、3分から8分の会話)していくというものです。そもそも独身のユダヤ人をマッチさせるためのシステムとして発生したものですが、セックス・アンド・ザ・シティなどのポピュラー・カルチャーに取り上げられ、英語圏の都市部でデーティングシステムとして発展し、最近になって日本の都市部でも、婚活会社の主催などで実践されるようになりました。(日本では、「お見合いパーティー」・「ねるとんパーティー」などと呼ばれることが多いようです。また欧米とシステムが少し違うことも多いです。)

で、件のドイツのスピードデーターの研究ですが、女性は、男性より厳しく相手を査定しているだけでなく、自分の恋愛市場における価値においてより現実的だという結果が出ています(!)

つまり、女性の外見的な魅力こそが男にとってパートナー選択の最重要要素だと知っているのでしょう、外見的魅力がより高い女性の方が、そうでない女性よりも相手に求めるハードルがより高いという結果が出たわけです。(ちなみに、「外見の魅力がより高い女性」をどう研究者たちが算出したかというと、どの機関にも属さない男女を何人か雇って、写真をレーティングさせたらしいです)

これに対し、スピード・デーティングをする男性は、自分の容姿、年収に関係なく、自分のパートナーに求めるハードルを設定するという結果が出ています。

興味深いですね…

つまり、有り体に言えば、スピード・デーティングの場において女性は「自分の身の丈にあった」パートナー探しをするのに対し、男性は「ただ自分の欲しい物を探しに来る」とも言えるわけです。

これにより、女性の方が「より現実的」だという調査結果になるのですが、面白いのが、「平均以下の男性が平均以上の女性を狙う」理由の考察です。

研究者たちによると、スピード・デーティングにおいて、男性は面と向かって拒絶をされることがないため、パートナー選択のコストがとても低く感じられ、出来るだけ「網を広げて」、なるべく「上物」(笑)がかかるように祈るとのこと。

これはとても面白いです。実は、男性の女性関係の成功を阻む最も大きな要素の一つが、女性からの拒絶への恐怖です。スピード・デーティングにおいて、面と向かって拒絶されるリスクが大幅に減少した状況で、男性の気が大きくなるという調査結果は現場の視点からしてもうなずけます。

さらに、オンライン・デーティングをする人たちで、自分の見た目を「平均以下」だと採点した人は全体の1%以下だったそうです(!) 「まず、自信を持ちましょう」というベタな恋愛アドバイスは、もはや過去のものなのでしょうか…